「学習メディア論」という授業で、「テクノロジー(AI)と教育」をテーマで議論してきた1学期。
「学校教育だけでなく、社会公共施設の中で利用されているテクノロジーはどんな風に影響を及ぼしているんだろうか?」
調べ、本を読み、議論が続く中で、
「実際に足を運び、施設を見学に行ったり、最先端の企業を訪問してみませんか?」と提案させていただき、2ヶ月越しで実現した課外授業。
訪問先に真っ先に思い浮かんだのは、「teamLab」。
3年間ほど定期的に訪れていた北海道上川町で、
teamLabの町営の体験型交流施設「大雪かみかわ ヌクモ」のプログラミングコンテンツを思い出し、
早速ヌクモの館長のたけっちょ 松井丈夫にご担当者をご紹介いただいた。

■ 本社訪問:
会議室などは見当たらず、ワンフロアが全てお互いにシースルーなオフィススペース。周りでは他のビジネスMTGがなされている中で、私たちはお話を伺った。
チームラボには、世界中でデジタルアートミュージアムや大規模な展覧会を展開する「アートチーム」と
クライアント企業からの依頼を受け、最新のテクノロジーを活用したシステム開発やデジタルコンテンツの提供、Web・アプリ制作を行う「ソリューションチーム」の2つの組織がある。
私たちがよく知っているのはアートの側面だけれど、事業規模で言うとソルーションが7でアートが3だと聞いて驚いた。
「日々変わるから」、とミッションもバリューがなくて代わりに二つの部門に共通する、「世界最高のクオリティを作る」という軸で取り組んでいることを知った。すごい!日本の作り手魂炸裂!とここから少々興奮気味になるワタシ。
特に心に残ったのは、「知の蓄積」という言葉。
うまくいった結果だけでなく、失敗したことも、思ったような結果が出なかったことも、「こんなことを言ったら笑われるかな」と思うようなアイデアさえも、組織にとっては意味のある「知」になる。
たとえば、ある方法を試してうまくいかなかった結果が共有されれば、1,000人の社員・仲間が同じ失敗を繰り返さずに済む。
だから、悪かった結果も良かった結果と同じくらい価値があるのだという。
この考え方に深く惹かれ、同時に
「日本の教育でこのマインドを育てるにはどうしたらいいのだろう?」という問いが浮かんだ。
「失敗してもいいよ」と子どもに言うだけでは失敗を許容したことにならない。
大人自身が試して、失敗して、「ここからこんなことが分かった」と体験を学びに変えていく姿を見せ続け、その積み重ねが、挑戦する子どもを育てるのかもしれない。
また、北海道・安平町の公立小中一貫校の空間設計のお話も印象的だった。
音楽室や調理室、体育館などを地域と共有し、おじいちゃん・おばあちゃんが子どもと関わり、大人がギターを弾く姿に子どもが「かっこいいな」と憧れる。
学校が子どもだけの閉じた場所ではなく、地域全体で子どもを育てるコミュニティになる。一度、実際に訪れてみたい場所になった。

■ 「Art」と「Solution」を結ぶ研究のサイクル
興味深かったのは、「Art」と「Solution」が一見まったく違うようでいて、根底ではとても似ていること。
「どういう体験をしてほしいのか」「どういう変化を生みたいのか」からコンセプトをつくり、プロトタイプをつくり、試して、検証して、改善する。
これは大学院でやっている研究のサイクル(実験・検証・再設計)そのもの。
全てのチームラボの作品は「なんとなく」ではなく、理論と仮説があり、実際の体験の中で確かめていくそうだ。研究も同じ。
教育にも、もっとこうした文化があっていいのではないかと感じた。
■ チームラボプラネッツ:
本社後、身体で理解する「世界最高のクオリティ」「世界最高のクオリティをつくる」という言葉を聞いた後で訪れたteamLab Planets(豊洲)。
「さっき話していたことは、これなんだ!!」とアートと体が一体になる感覚にまた、感激興奮。
匂い、温度、水、動き、音、色、など5感の全ての要素で働きかけれらる。
後に家族と話していて「海外観光客向けのMUST GO施設」だと知ったのだが、実際の来場者も体感で95%ほどが海外観光客。
多様なスタッフの皆さんが英語で心地よく案内されていた。
Water, Garden, Athletic Forest。といったエリアに別れていて、特に床や壁を森や海、生き物たちが動き回り、その中を自分の身体で歩いていくインスタレーションが好きだった。
大都市・東京の真ん中にいるのに、一瞬で大自然の中に引き込まれる感覚(思わず「家の床にカエルやワニのインスタレーションができないかしら?」と想いを巡らせてしまったほど!)。
また『Floating in the Falling Universe of Flowers』では、咲き誇る花々に包まれ、特に大好きなヒマワリは永遠に見ていられた。
リアルタイムで生成されるため「二度と全く同じものには出会えない」と知り、さらにびっくり。
VRに似ているけれど、もっと身体的でリアル。アートを見るというより、自分自身がアートや自然の中に埋没していく初めての感覚だった。

■ おわりに
自然とテクノロジーは相反するものではなく、テクノロジーによって人間が忘れていた身体感覚や自然とのつながりをもう一度感じることもできる。
AIも、教育も、アートも、「使うか使わないか」の二項対立ではなく「それによって人の体験や学びをどう豊かにできるか」を考えたくなった。
「知の蓄積」「世界最高のクオリティ」「試して、検証して、改善する」「人の行動や体験を変える」。
教育に携わる私にとっても、研究をしている私にとっても、いくつもの問いを持ち帰る濃密な90分だった。
この貴重な機会をつないでくださったヌクモのたけっちょ、そして長時間にわたり丁寧にお話しくださった山田さん、本当にありがとうございました!
次は安平町の学校にも行ってみたい。大阪の長居公演のインスタレーションもみてみたい、京都の施設も行ってみたい!
5感でフルに学んだ1日でした。
(写真の共有は許諾済み)
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