💡なぜ今学習スタイルが注目されているのか?💡

2020年に迫る入試改革を目前に教育の在り方が変わってきている。一番の理由はこれから50年後の日本は人口が60%に減少することだろう(日経新聞調査)。つまり働き手が減るのでこれまで労働者として考えられていなかった女性や多国籍の人材、高齢者などを積極的に採用していくことになる。それに伴い社会がこれらの多様性に対応できる柔軟な人材を輩出するための教育制度に変えていく必要があるのだ。国語数学は暗記、問題集、マークシート形式から論述記述式に。英語は読み聞くの2技能から読み、書き、話す、聞く、の4技能を民間試験で図ることが検討されている。もはや私たち大人が学んだようなやり方で子育てはできないということだ。
子育ての目標は「自立」であると言うが、具体的には親と子どもは自分とは違う人格を持っていると認識することから始まる。気質学び方学ぶ環境興味得意分野が自分とは違う存在に効果的なコミュニケーションを取ることで相手の主体性、独自性を尊重することができる。文科省が期待している思考力,判断力・表現力をつける子育てとは、まずは親が自分の知っているやり方で子どもに勉強を教えたり道を示すのではなく、子どもをよく観察し、選んで言葉を届けることだ。


💡子育ての目標は、、💡

子育ての目標は「自立」ではなくてはならない理由はもう一つある。それは2011年にキャシーデビッドソン氏が「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は大学卒行事に今存在していない職業に就くだろう」と言っているように、「指示されたことをこなす仕事の多く」は人工知能が代わりに行うようになる。私たち大人が想像もつかないような職業が生み出され、かつて慣れ親しんだ仕事は人工知能に奪われる。そのような時代に生き抜き、且つ主体的に生きていく人間に育てるためには彼らに大人の言うことを聞く素直な人間を求めるのではなく、「自らが考え、判断し、表現、主張できる」人になってもらう他ないのだ。因みに、人工知能が奪うと言われている職種は事務、受付、CADオペレーター、機械工、金融・財務・税務系で数字を主に扱う仕事と言われている一方で代替ができない職業もある。それは「コミュニケーション」や「芸術表現」という域に関わる職業が多いようである。教師、医師、リハビリ専門職、セラピスト、カウンセラー、ミュージシャンなどのアーティスト、学者、コンサルタント、などがその一例である(野村総合研究所と英国オックスフォード大学の共同研究から)。では具体的にどうすればよいか。子どもの行動に対していつものやり慣れた声かけを自動的にするのではなく、個々の違い把握、尊重すること。「学習スタイル」という考え方を知っておくことを勧めている。


💡学習スタイルを知ろう💡

1988年からアメリカの教育学者マリアエマ・ウィリスとビクトリア・キンドル・ホドソンが提唱している「学習スタイル診断」。人生の早いうちから自分の独自の学習スタイルに基づいて成功体験を重ねたり達成感を味わえば、その後の学習や人生の全般に役立つと言われている。学習スタイル診断は「気質」「才能(得意分野)」「興味」「優位感覚 」「環境」などの5つの要素から成り立っているが、詳細を説明する前にまずは子どもの人生の伴走者としての心構えを紹介しよう。

CARESの法則

  1. 子どもの個性を尊重すると決心する(Celebrate your child’s uniqueness)
  2. 伴走者としての役割を受け入れよう(Accept your role as a coach)
  3. 子どもの態度や発言に無意識に自動反応するのではなく、立ち止まって意識的に対応する(Respond rather than react)
  4. 学習とは何か視野を広げる(Expand your view of where learning takes place)
  5. 点数主義の評価をやみくもに辛抱し、子どもを定義することをしない(Stop Blindly supporting bell curve evaluations and definitions of your child)


💡学習スタイル診断① 気質💡

学習スタイル診断の5つの要素のうち「気質」について紹介する。学校で行われているスケジュールをしっかり管理し、決まったことを時間内に学ぶという「集団学習」が合っているのはこの中のうちの「組織的遂行型の気質」だけだと考えられている。例えば、「学校に馴染めない」という要因の一つに学校の学習環境自体が「学習スタイル」が合っていないのかもしれない。学習スタイルの「気質」の分類は以下の通りである。

■組織遂行型 系統立てる型■

いわゆる「几帳面」なタイプ。体系的に物事を考えたり、問題集をすることが効果的です。現在の学校システムに適合しているのはこのタイプのみと言われている。秩序と効率性に対する欲求を認めてあげることが重要。

■表現実行型 動く型■

人を楽しませるような活動や教科を好むタイプ。ゲーム、視聴覚教材などを用いたり、思いっきり身体を動かす事で、最も効率的に学べる。ユーモアが得意で、人を笑わせたりすることがよくある。自発性と遊びの楽しさに対する欲求を認めることが重要。

■思考創造型 創造型■

抽象的な概念についてじっくりと考えたがるタイプ。公式や哲学、芸術作品を通じて自分の考えを表現するので、創造的な科目や活動を好む。人のために役立つことへの欲求を認めることが重要。新しい考えを提供したいと言う欲求を認めてあげることが重要。

■発明型 発見型■

発明、発見に没頭するタイプです。機械いじりや実験など何時間でも時間を費やす。好奇心が旺盛で、自分の関心を追求する熱意が非常に強い。

■関係影響型 交流型■

他人の幸福に貢献する事に意義を見つけるタイプ。他人への興味が強いのでグループ活動や討論が効果的な学習法だといわれている。他人の幸福に寄与したいという欲求を認めてあげることが重要。


💡学習スタイル診断② 才能💡

才能というとつい、生まれつきのものと思われがちだが、「成功は10%のひらめきと90%の努力から生まれる」と言われるように、遺伝によるものと訓練によって花開くものがある。学校ではある科目について特別な技能を持ち、楽に学ぶことができると言う形で現れやすいが一方で課題が簡単すぎると関心がなくなってやる気がそがれてしまうこともあるので大人は注意深く見守ることが大切だ。また学校では発揮しにくい芸術、ユーモア、演技などの才能は、課外活動で発揮させてあげるなどの工夫をすると良いだろう。私たち大人が、子どもの才能を見極め伸ばす目的は学力向上と同じくらい、その子にとっての希望、夢、将来への期待を手助けすることになるのだ。才能の定義は以下の通りである。

  1. 楽にできる、自然にできる。
  2. 学習上のある特別な分野では、前もって説明されなくてもすぐに他の子どもたちの先を行くことができる。
  3. 才能は伸ばさなければ眠ったまま。使わなくてもなくなるものではない。
  4. 才能を意識して伸ばしても伸ばさなくても使っても使わなくても基礎的な資質はそのままである。
  • 学習スタイル診断で分かる12の才能
  • 音楽的才能
  • 数学理論的才能
  • 機械理論的才能
  • 言語理論的才能
  • 空間的才能
  • 身体的動的才能
  • 内省的才能
  • 対人的才能
  • 動物と交流する才能
  • 自然と触れ合う才能
  • ユーモアの才能
  • 日常生活を向上させる才能


💡学習スタイル診断③ 興味💡

学習スタイル診断では「興味」は記述式である。子どもが思う家庭や社会、学校、地域、世界の中の大切なこと、関心ごとが自らの言葉でつづられているので普段からよくコミュニケーションが取れている親子にとっては当然の内容を確認する程度となることもあるが、多くの場合は「そんなことを考えていたのね」と驚くのではないだろうか。実際にその関心ごとについてどのような形で取り組み、一生のうちに成し遂げたいことなどをこの項目に沿って話し合うことができる。前述の才能と興味は同じものではない。つい親は自身が認めた才能に関することに興味を持つべきだと子どもに進めがちになってしまう。自分の思いを排除して子どもの興味を心から応援してあげよう。楽しいことが学びの一番のモチベーションなので興味を追求していくうちに苦手だったことにも取り組もうと言う意思が出てくるかもしれない。一つの科目で良い点数と取り続けると他の科目も挑戦しようと言う気になったことがあなたにも心当たりがあるはずだ。


💡学習スタイル診断④ 優位感覚💡

「視覚優位」「聴覚優位」「運動感覚優位」。学習スタイル診断のうちで最も分かりやすいのがおそらくこの「優位感覚」だと言われている。NLP (神経言語プログラム)でもクライアントとの信頼関係作りには五感を使う方法(ペーシング)を提唱している。話は反れるがNLPは最強のコミュニケーション方法の一つでコーチング、カウンセリング、セラピーの現場、トップスポーツ選手のあいだで使われている。クリントン元大統領も実践していたことで有名だ。私たちは自分の五感を使って世界を認識したり、情報を出し入れしている。優位感覚を把握することで学習方法をより効果的に提案することができる。プレゼンを聴くとよく分からないけれどパワーポイントを見せてもらうと理解できるとかじっと聞くだけよりも触ったり体験した方が記憶に残るということはないだろうか?優位感覚によって届く言葉も違うので、こちらがいくら話しても通じないのはひょっとすると親と子どもの情報処理方法が違うからかもしれない。

優位感覚の法則

  1. 優位感覚は学習スタイルの一つに過ぎない。
  2. 優位感覚は人が情報を取り入れて分析する際の方法や感覚について言及したものである。
  3. 単に人を聴覚、視覚、運動感覚に分類してレッテルを貼るだけでなく、より細かい分類が可能である。

「視覚優位」

・ピクチャー型 見る
・活字型 読む

「聴覚優位」

・聴覚型 聞く
・発話型 話す

「体感覚優位」

・記述型 書く
・全身型 動く
・スケッチ型 絵を描く

学校の授業の環境は主に「聴覚優位」の生徒が有利だといわれている。つまり3分の1のタイプに対応していることになる。3つのタイプに全て届く学び方は「学習スタイルコミュニケーションアップ術講座」にてお伝えしている。http://mindfulkosodate.com/category/seminar


💡学習スタイル診断⑤ 学習環境💡

暑すぎる、寒すぎる、朝早すぎる、夜遅すぎる、騒がしい、静か、、、どのような環境だとあなたは一番集中できるだろうか?あなたが一番集中できる環境は、ほんとうにあなたの子どもにとって最適の環境だろうか?その子に合った環境を家では整えてあげることができる。集中できない子どもは一般的には「注意欠陥」などのレッテルを張られてしまうが、通常理想だと思われている「一人で静かに話を聴いて学ぶ」方法が合っていないだけなのかもしれない。以下の環境要素を組み合わせてみよう。

🌟音
音楽を聴きながら
一人でいること
カフェなどの雑音がある

🌟人とのかかわり
一人でいる
静かな人といっしょにいる
ペットと一緒にいる
おしゃべりをしているか何かをしている人と一緒にいる

🌟姿勢
寝転がりながら
椅子に座りながら
床の上で
立ちながら

🌟照明
自然光
明るい照明
暗い照明
明るさは気にならない

🌟気温
暑いのが苦手
寒いのが苦手
窓を開けておく
気温は気にならない

🌟食べ物
飲みながら
食べながら
すぐにおなかがすく

🌟元気な時間帯



深夜

🌟色
好きな色に囲まれるとモチベーションが上がると言われている


💡まとめ 欲求段階を満たそう💡

学習スタイル診断も受けて、自分と子どもの学び方や才能、興味も違うことが分かった。言葉かけも自動反応せずに意識的に行っているのに、なぜかうまくいかない感じがするときに知っておきたい「マズローの欲求段階」

低次元の欲求が満たされていないと次の段階にいけないと言われてる。一番下は生理的欲求。睡眠、食事、などの基本的な欲求で何も考えなくても自然とでてくるもの。次が安全欲求。帰る家、安心して眠れる場所、健康であることなど。通常、乳児は保護者がいるという環境でこの欲求は満たされていくが病気になったりするとこの次元にまで下がってくることはある。社会的欲求仲間、友達、コミュニティに帰属することで満たされる。子どもたちは学校やその他の活動を通して社会の一員だと実感していく。外的欲求ともよばれていて、外から満たされていくもので逆に言うと自分だけではどうにもならないともいえるので大人が満たしてあげるように気をつけることが大切だ。その子にとっての「安心安全」が保障されない環境にいると人間が学問的なものを学ぶことに集中できなくなるという。貧困や恐怖、トラウマ状態にある子どもは学習段階=自己実現欲求にいないことが良く分かるのだ。

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