学習スタイル認定コーチ養成講座の修了後に、学びをオンゴーイングの実践にするための「フォローアップ講座」を月に1回開催しています。認定コーチで作業療法士、発達障害専門塾を企画運営している津田さんから、「発達」や「認知」、「感覚」、「運動や環境」についての知識を教えてもらっています。学習スタイル診断を受けてお互いの学び方の違いは分かったれど、実際に「違い」を尊重するための根拠を深めるべく「感覚システム」という観点から学びました。
「感覚」とは私たちを取り巻く「環境」に大きく影響しているものです。例えばこの「学びのピラミッド図」の上のほうの、「勉強」に困っている子どもがいたとします。見えやすい「勉強ができない」という状態の下にはこのピラミッドのような発達や感覚システムをみて、どこに困り感があるのか、一つ一つ紐解いていきます。ピラミッドの下は、私たちの学びの土台ともいえます。つまり土台がしっかりとしていないと上のほうはぐらついてしまうというわけです。今日の学びは感覚システムでした。
感覚は、音符のようなものがバラバラと入ってくるのと似ています。外部の「刺激」をバラバラと受けることで、脳が情報処理をして、それが「不快」か「快」によってその人の行動に現われるといわれています。感覚をつかさどる感覚システムは(視覚、味覚、嗅覚、触覚、固有感覚、平衡感覚)に分かれていて、それぞれの感覚が過反応か低反応/探究かを見極めます。
学習スタイル診断の3つ目の項目、「学習環境」はお子さんの感覚システムの過反応か低反応/探究かによって選ぶ選択肢が変わってくることが分かっています。例えば、学ぶ/集中する際に「音」が必要だと選択する背景には、刺激が入っていないと集中できないという状況があり得るということです。情報を長期記憶に定着させるために、海馬で記憶する必要があるのですが、人は気持ち触れたものしか覚えらませんので「いいもの、楽しいもの」と脳に錯覚させると、偏桃体が活性化します。それが快刺激となり、好きな音楽聴きながら、気持ちものってきて、よい刺激がよい記憶として定着するという脳科学的な仕組みがあるのです。その快刺激が「音」の人もいれば、「目」からの視覚的な刺激が必要な人もいます。また体を動かす刺激が必要な人もます。いずれも「快刺激」として脳に伝わっているのです。
学習スタイルの環境では、学ぶ際の飲食の必要/不要についても尋ねています。飲み物を飲んだり、ガムを食べたりしながらが集中できる人は、刺激が必要なので、動き回って勉強するほうが楽だという傾向があります。感覚が低反応で動きがちな子どもであれば習い事前にトランポリンをさせたり、体を使った遊びを思い切りすれば、学びの時間は集中が続くことがあります。
マインドフルラーニングが提唱している学習スタイル診断とコーチングメソッドは「子どもの学び方に合わせた環境を整える」を勧めていますが、生活に困りごとが続くような、特定の環境下以外では集中ができないという状態は目指していません。そこで2つの提案をしています。一つ目は子どものストレスを減らすこと。居心地が悪い場所や物から離れる、ストレス状態を解放し本人らしく過ごせるようにしてあげてください。私たちも音や匂い、視覚的な映像に過敏になるときはたいてい疲れているときなので、ストレス状態は低いほうが人は落ち着くことができます。
2つ目は、自らが「要る/要らない」がわかる、いえる、「得意/不得意」がわかる子どもに育てることです。子どものために先回りをして大人があれこれと環境を用意をしていると、自ら問題解決をしなくなります。私たち大人はあくまでも自立/自律できる子どもに育てるというところをゴールに掲げ、合わない環境に居続けるなどの過度なストレス状態から子どもが解放されたらあとは元の環境に戻して、自分から集中するために「バランスボールを用意してほしい」とか「しっかりとした椅子に座りたい」「スクイーズボールが欲しい」などといえるようにしましょう。そのためにはコーチング的な対等なかかわり、私はあなたの味方だという安心安全の関係、言葉に耳を傾けることが必要なのは言うまでもありません。