今週は発達障害についてNHKではあらゆる番組で特集を組んでいる。夜8時以降はTVを観ないので録画でBSの「ハリウッドで活躍する発達障害者たち」とか「きょうの健康」とか、片っ端から隙間時間を利用して視聴している。その中でも「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介された発達障害に特化した精神科の専門医本田秀夫先生のエピソードが目を引いた。今から10年ほど前、株式会社立の学校に携わっている時に入学してASDで困っているご家庭に本田先生を紹介したことがあって興味深く視聴した。

番組の中で本田先生自体もASDとADHの傾向がある(自閉と注意欠陥)と自己開示。通勤中に決まった場所でゲームをする習慣や毎食必ずヨーグルトを食べるなどの先生の’こだわり’を一つ一つ紹介していた。また長年診療している高校生の生徒をクローズアップ。ASの傾向があり、空気が読めないので非常に気を遣うエピソードがあった。空気の読めない自分が生きていくために周りに合わせすぎる、「過剰適応」をしているという。彼女の’スゴイ’ところは、過剰適応で自分が疲れすぎているとき、「疲れたな」とか「バッテリーが切れる」とおもったらどんな状況でもすっとその場を離れることができること。過剰適応による疲れで急に落ち込むことは織り込み済みで、生活をすることができている。本田先生に出会うまで不登校だったという。

色々なエピソードを視聴していくうちに今年に入って自身もADHDだという某教育機関系の社長さんに身の上話をする機会があり、「あなた発達障害なんじゃないか」と言われたことを思い出した。「誰にでも確かにそういう傾向はあるからな~」くらいで済ませていたが、思えば思うほど、過去のエピソードを思い出すのだ。例えば空気が読めなくて悪気なく事実を伝えて相手を憤慨させてしまったことは数知れず。また、社会で生きていくためのノウハウとして過剰に気を遣い、逆に裏目に出ることも。ただ子どもの頃はスポーツやお勉強ができてお友達も適度にいる「リーダー」タイプだったので子どもの頃よりは、環境が全く変わった海外の高校時代からその傾向が強くなったように思う。発達障害は後天的ではないと言われているので、集団生活で見過ごせるくらいなマイルドなものだったのかもしれないし、昔はみんなそれぞれ特徴があって少しの特徴くらい享受できる環境だったのかもしれない。実際には大人になって生きづらいと感じることが多かった。

NHKで紹介している自分を正しく知って、伝えられるように、対策ができるようにしようという試みの「わたしのトリセツ」を見たときに、その特徴に当てはまるものがある。



・匂いに過敏(特に排気ガスとかたばことか外の匂い)
・光に過敏(2008年にレーシックをしてから特に)
・音に過敏(不快な音というのがはっきりとあり気になる)
・手触りに敏感(心地よい特定の生地がある)とか
・言葉の裏のニュアンスを読み解くのが苦手(だから英語のコミュニケーションのほうが楽)
・自分の気持ちや意見を言葉で説明するのが苦手(社会で生きていくために過剰適応してしまいしばしば疲弊する)
・急な変化や予定外の出来事への不安・緊張が強い(前もって対応しておくことで解消するのだが、それが変更になったり兆しがあると極度に不安になってしまう)

などである。
その他にも何かにこだわったらしばらくマイブームは続くし、気になったらとことん調べるという過集中の傾向もある。

ASもAHも、自閉と多動衝動という名詞で表現されているが、コーチング的にリフレーミングすると(言い換える)と、「好きなことはとことんこだわることができる」、とか、「エネルギーがあって行動力がある」、と表現できる。振り返れば、何かについてとことん調べるのでその分野には詳しくなるし、集中して取り組むことができるので、物事を達成することができるという面もある。自分の子どもや関わっている人たちにはそういうポジティブな面で見守りたいし、見守って欲しいと思う。

自らも多かれ少なかれ凸凹発達課題を持っているかもしれないがそれは単なる個性なのだ。自分を等身大に知ることによって、ストレスがかかる状況がどんな状況かわかっていて、対策をして生きていければいいのではないか。調子の悪い時はこうすればいいと判断できること。どうすれば自分は回復するのか知っておくこと(TVでは猫カフェに行って癒されることなどが紹介されていた)。

それらの特徴を織り込み済みでその人の「幸せって何だろう」、私たちが考える「普通って何だろう?」。個人的には、落ち込むときにしっかりと落ち込めて、自力で解決しないときは素直に助けを求められることだと思う。しかし考え続けたいテーマである。

*NHK プロフェッショナル、仕事の流儀 本田秀夫先生はいまオンデマンドで無料視聴が可能です。リンクはこちら。