昨晩は何度も携帯からテレビから「命を守る行動をしてください、非難してください」が繰り返し流れて来た。事前知識として、私の住む地域は二つの川に挟まれていてハザードマップ指定地域で浸水は100年に一度くらい。しかも最大3mの深さで、水が引くまでの最長時間は72時間とされていたため、川が氾濫したら台風から3日間2階で過ごすことにしていた。台風の一日は家でのんびり家族でボードゲームをして遊んでいた。
車を所有しない我が家が、暴風雨の中避難所に移動するのは非現実的で、2階で生活をするための準備はした。火や水が使えなくても食べられるお肉やお野菜を3食分は作ったり、お風呂に水を張ったり、靴や電子機器を含む必要・重要家財はすべて2階に持ち運んだ。2リットルのペットボトル飲料水は家族が4,5日使用できる量は常備している。
腹を決めたものの繰り返し流れるアナウンスやサイレン、防災放送で気持ちは焦る。午後11時には家の周りが浸水し始めてどんどんと水かさが増していくではないか。しかも、消防車がすぐそばまで来ていて「これからダムを放水しますので水位が急に上がります。避難してください!」とアナウンスを繰り返す。こういう時に「避難してください」のアナウンスほど無責任な声掛けはない。まず、どこへ非難するのか?何を持っていくべきなのか?が、全く明確ではないからだ。
自宅の2階で3日間過ごす腹を決めたはずなのに雨風が止んでいたことと、水位がどんどんと増してきたこともあって、まとめていた荷物を各自背負ってジャブジャブと水の中を歩いた。1㎞先の避難場所の小学校に行くことに決めた時には夜11時半近くだった。水の中を黙々と歩いていると体験したことがない恐怖心がこみあげてくる。距離にすると浸水した道を歩いたのは50mほどだったのだが、いつもの倍以上の時間がかかった。
避難所に何があるかわからない。飲み物、食べ物、毛布、など一体何が置いてあるのか、何を家から持ち出すべきなのか。日ごろから意識しておく必要があった。実はここが我が家の最大の避難躊躇ポイントだった。結局避難所では防災毛布一枚が支給された。つまり他のものは何もなかった。寝る場所(廊下)と水とトイレが使えるという状態。あとは同じ空間に何百人もの人がいるから大丈夫という安心感。一晩ならば十分なのかもしれないが、これを何日も続けるのは健康な人でも精神的・体力的に参ってしまうだろう。廊下は人が寝るところではないし、プライバシーもない。またペットや小さな子どもがいたりする人は気を遣うし、自分も疲れているのに何かと勝手が違う避難所はもっと大変だったろう。きちんとした栄養が摂れないと免疫も下がってしまう。
避難を決めるまでに時間を要したが、結果的に、少しだけ仮眠をして、お風呂に入って、温かい夕飯を食べてからの避難所移動は幸いだった。それでも 一晩経って水が引き、自宅に無事に戻ったものの、寝不足と慣れない重い荷物を持っての徒歩移動でクタクタだった。奇跡的に浸水を免れたのだが、それでも二階にあげた家財を運んだり、洗濯機を3回も回したりと大忙しが待ち受けていた。自然災害は人の生活リズムや生活パターンを一気に狂わせてしまう。普段から体調管理や、体力を十分につけて生活をすることを心がけたい。
また今回は特にSNSの支えを感じたのは、思いがけず多くの方から「何かできることはないか」と直接メッセージをいただいたことだ。とても心強かった。またSNSを見て、「大学生の二人の子どもが今は離れて暮らしているので手が足りないと思って、、」と地元のサッカーコーチたちがわざわざ家に来てくれたのも素直に嬉しかった。遠慮せずに災害時にはどんどんとSNSで発信しよう。お声掛けをいただくと大勢の方に支えられて生きていることを災害時は痛感させられるし、否が応でも普段の自分の在り方や関係性と向き合わされた。ご近所でははほぼ1階は浸水している状態が多く、水の汲みだしのお手伝い、トイレや駐車スペースの貸し出しなども行ったが、他にも被災していない地域からわざわざ駆けつけたりお互い助け合っている姿を見ると、もっと住んでいるコミュニティと関わり合いを持つことを考えさせられるのだった。
まとめとしては、常日頃から自宅の指定避難所はどこか。最寄りの避難所はどこか。どういう手段で行くか。そこには何があって、何を持っていくべきか。自然災害の多い近頃だからこそ今から備えておきたいものだ。教訓を生かして今後避難所で一晩明かすために持っていきたいもの、合って便利だったものは以下の通りだ。
- 歯磨きセット
- タオル(枕代わりになる)
- 飲料水
- 季節によって毛布(一枚は寒い)、ホッカイロや団扇や冷えピタ
- マスク(大勢と一緒に密閉空間にいるので感染予防)
- ハサミ(支給された毛布のアルミを切るのに役立ちました)
- アロマオイル(気分転換に)
- 食べ物(特に個人的にはプロテインとビタミン剤)
- ウエットティッシュ
- ティッシュ
- 常備薬
- 懐中電灯
- スマホ充電池
- スマホ
- スリッパ
- 着替え、靴下
- 貴重品(お金、身分証明書、PCなど)
ところで、無事に浸水を免れたので決行することになりました。
明日は年に一度の多様な学びの祭典「エデュコレ」。元気にブースを出してお待ちしているので会場で皆さん、お会いしましょう。