2018年12月8日土曜日 ちいさな学校説明会「イエナプラン 長野県佐久穂町大日向小学校」
正式な認可はあと10日ほどで降りるか降りないか決定する予定なのですが、、と代表理事の中川さんが語り始めました。2019年4月に開校予定の大日向小学校。オランダのイエナプランのコンセプトを採用した私立の長野県認可の小学校です。「廃校になった小学校の校舎を譲渡してカタカナ文字の私立の認可小学校が設立される」ことは、地域の方々にもインパクトがあったことは想像に難しくありません。それでも2017年6月に満場一致の町議会で可決されました。まず初めに感銘を受けたのはその満場一致までに至る過程でした。イエナプランのコンセプト通りに「対話」を大切にして、学校の名前や学校法人の名称まで地域の方との話し合いを重ねてつけたこと。その結果、「もう一度この街に学校ができるのは奇跡だ」と町の人たちが言ってくれたこと。テキストブックからではなくて「本物の体験」から学ぶ学校なので自然の多い環境や校舎を探していたところ、見事にニーズがマッチ。校舎は廃校とはいえ、町のシンボルである「カラ松材」を使った校舎で、廊下に畳があったりと、イエナプランの学校にはぴったりの校舎でした。
佐久穂町は、前町長さんから「自立し、多様なコミュニティが人々の暮らしを支え、挑戦や行動を支援する町」というのコンセプトを掲げていました。そういう意味でも、イエナプランの学校がその場所に設立されるのは偶然ではなく、必然のように感じます。多くの活動は、佐久穂町の街に出てお年寄りにインタビューしたり、町の課題解決を一緒に考えたり、地域の自然に触れたりすることになります。また山の反対斜面には太陽光パネルの大がかりな発電システムが建設される予定で、それに関しては、社会の課題として学ぶ絶好のチャンスととらえられていました。
大日向小学校では、オランダのイエナプランはメソッドではなくてコンセプトだと解釈をしていて、日本の教育指導要領に沿った形で(ブロックアワー、ワールドオリエンテーション共に教科の時間にカウント)、最大限に「個を大切にされている子ども=幸せな子ども」を育成することを目的としています。この学校では、社会に出る前の練習の場として失敗を推奨し、学校の中が理想の共同体であること、共に生き、個を大切にされ、誰かと共同していて、それぞれの居心地の良い場を過ごします。その結果、そういう社会を作りたい人を輩出することを目指しています。外に出る前に練習し、学校の中で居心地の良さを学び経験すること。どちらか片方だけ大事するのではなく、社会とのつながりが大切だと考えています。まずはその為には安心して過ごせる経験を積むことです。
高学年から転入するとイエナプランで言う「年長の役割」については難しく感じるかもしれませんが、1,2,3年生、4,5,6年生の縦割りのクラス編成なので、できる生徒とまだ難しい生徒が助け合うので自然発生的に助け合いが生まれる、とおっしゃっていました。また採用予定の先生方に関しても20代から50代で男女比率は半分半分。公立・私立の学校で最大限に今の教育システムで教えてきた先生方で、決して公教育を否定しているような方は採用していないとのこと。この点はわたしも同感します。多様な学びとは、優劣をつけるものではなくて並列であるべきなので、良い悪いの価値をもって子どもたちに接するのは難しいと考えるからです。
給食はバイキング形式。自分で食べられる量を選択できるようにする、、という目的のためです。気になる進路ですが、開校後数年かけて中学校をフリースクールという形で作る予定だそうです。高校は既に選択肢が沢山存在し、自分で選択ができる生徒たちが育っているはずなので、作る予定はないとおっしゃっていました。リビングルームのような職員室や教室。評価も達成度を把握するためのテストは行うが、優劣をつけたり数値化して順位をつけるための評価は意味がないので行わないそうです。その代わりに、ポートフォリオを残していき、自分自身でどれだけ成長したか語れる場を作ります。一緒に保護者に学校を作ってもらいたい、出入りしてほしいという願いで寮の建設予定はないそうなので、この学校に通うためには「移住」をする必要があります。移住の相談窓口は町役場にあります。定員は各学年30名。定員をオーバーした場合は抽選で機械的に選びます。初年度は全生徒で30名ほどの予定でしっかりと目の届く環境になるようです。親が自らこんな教育を受けてみたかったと思える学校です。そして、地域や人を大切に対話をする姿勢の創立メンバーのみなさん。きっと地元にも愛される学校になることでしょう。詳細はこちらまで。
学校以外の学びの場、その子がその子らしく居ながら学べる場所、選択肢を増やしたいとこれまで活動して参りました。ご縁があり、東京で行われている「ちいさな学校説明会」のオブザーブをさせていただくことができました。私の使命はこの内容をより多くの方に届けること。その結果、「一般的な学校」では中々うまく行かない場合でも、選択肢を知ることによって勇気づけられ、夢を描くお手伝いができることです。一人でも多くの皆様に届きますように願っています。イエナプランの教育そのものについての詳細はこちらから