
先日、リーディングDXスクールとして生成AI活用に取り組む
相模原市立中野中学校での授業参観と、
堀田龍也先生・益川弘如先生の講演に参加させていただきました。
学習指導要領は2022年から2024年にかけて中央教育審議会の特別部会で基本的な検討を行い、2025年から2026年に本格的な改定議論を経て、2027年に次期学習指導要領の改定を行う見込みとされています。
改定の軸となるのは「人生は100年時代」というキーワード。
変わりゆく職業観や複雑な問題に自分の力で解決できる人材を育むことを目的に対話的な深い学びや自己調整学習、個別最適化学習などが掲げられています。
その中でマインドフルラーニングが挑戦しているのは「学習スタイル」と「コーチング」という切り口で、「自己理解や他者理解」、「違いを超えて協働ができる」、「自分の好きを武器にする」人間の育成とそれを応援していく大人のあり方を伝えていくことです。
表面的な「タイプ診断で枠にはめて’ジャッジする’」ではありません。
「子どもをもっと知りたい」と思ってもらい、子どもからは「先生にもっと聞いてほしい」、という関係性を引き出すツールだと考えているのですがさらなる私自身の学習が必要だと痛感している毎日です。
堀田龍也先生と益川先生のお話のまとめを共有します。
「生成AI×教育」と「これからの学びの本質」について
◆ 教室に生成AIが入ってきた今、教師の役割は変わるのか?
堀田先生は、生成AIを「答えを教える道具」ではなく、「学びのパートナー=”学びを支える道具”」と定義されていました。
たとえば、「すぐに答えを出さずに考える時間を確保するようにプロンプトを工夫する」など、教師の教材研究の延長線としてAIを活用することの重要性を説かれました。
「AIは教えるのではなく、問いかけ、導く存在として設計すべき」
実際に中野中学校では、国語や英語、社会など多教科でAIを活用した授業実践が進んでおり、生徒たちは友だちやAIと対話しながら、学びのプロセスそのものを自分たちでつくり出しています。
◆ 教科の「知識」を教えるのではなく、「教科でどんな力を育てるのか」が問われる時代
堀田先生は、「ごんぎつね」などの教材を例に挙げ、「教材を教える」のではなく「教材を通して育てる力」が本質だと語りました。
「修飾語とは何か」ではなく、「なぜ修飾語があると便利なのか」。
こうした問いこそが、教科の本質への接続であり、生徒にとって意味ある学びとなる。
また、説明文やグラフの読み取りも、「どんな構造で書かれているか」「どこが変化点か」を押さえることで、他の題材でも応用が利く視点を育てることができる、と強調されました。
◆ 「教える」から「一緒に学ぶ」へ:子どもの多様性に応える学びの場づくり
「先生が話しすぎず、困っている子には聞く、困っていない子には話さない」
これは中野中の実践に見られる教師のあり方です。
堀田先生は、生徒が安心して間違えられるような学びの環境づくりの重要性を語りました。
生徒同士が教え合い、何度でも聞き合える関係。そこには教師の「教えない勇気」があります。
また、生成AIを活用している授業でも、「答えをすぐに教えないで」とプロンプトを設定しておくことで、生徒自身の思考を深める時間を保証する工夫が紹介されました。
◆ これからの学力とは?――学びを通じて“鍛える”力
堀田先生は、「学びとは、自分の力を鍛える営み」であるとし、
「答えを教えてもらうことが学びなのか?」と問いかけていました。
・わかった「つもり」になっているだけではいけない
・自分の言葉で説明できるか
・他の人と共有・協働できるか
このような視点が、学びの質を高め、**これからの社会で生きるための力(資質・能力)**に直結します。
◆ 社会の変化と教育の責任:100年時代を生きる子どもたちへ
堀田先生は、キャリアチェンジが当たり前の社会、大学の淘汰が進む未来を見据え、次のように話しました。
「教科の細かい知識は、あとでオンラインでいくらでも学べる。
今の学校でこそ、自分の学び方を身につけることが何より重要です。」
だからこそ、小中学校段階で、「自分のやりたいこと」「自分に必要なこと」「誰と学ぶと自分が深まるか」を判断する「“メタ認知”と“学びの選び方”」を育てることが求められます。
◆まとめ
・生成AIは“教える存在”ではなく、“学びの伴走者”
・教科の知識ではなく、「学ぶ力」「考える力」「選ぶ力」がこれからの基盤
・生徒の多様性に対応した「教えすぎない授業」のデザイン
・答えよりも、「問いを立てる力」「対話する力」が求められる自分の学びを“自分で選び取る”力を育てるための学校教育へ
今回の授業参観では、特に生成AIを中学生の教科や支援学級の学びに入れている様子を目の当たりました。
AIは活用するもので、考えを深めたり広げたり、仲間と協働するきっかけになることがよくわかりましたし大変勉強になりました。
道具を知らずして、「危ない」とか「考えなくなるのでは?」という議論よりは、「道具は使いよう」ということです。
日本でもこれからの教育、今できること、自身の目指す方向に確信を持ち、
私自身も学び続けることを固く誓った時間でした。
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