学習スタイル診断を米国で学び日本に導入して今年で21年になります。学習スタイル診断を実施した子どもや大人の数は1000人以上になりました。並行して学習スタイル診断以外の発達検査や教育検査に出会ってきました。それぞれの検査は科学的な根拠に基づいて作られていて特徴があります。果たして「どの検査が良いの?」というご相談も受けます。どれにもそれぞれのゴール、特徴や良さがあるので一概に「この検査/診断が一番良い」とは言えませんが、他のアセスメントには決してない、学習スタイル診断だからこその強みについて紹介します。

学習スタイル診断にしかない特徴その1:
「受けた人目線のアセスメント」であること。診断を受けた人の答えたものがそのまま結果となって出てくることです。「この診断は答えたものが出て来るので、自分にとっては当たり前だ」というご意見をいただきます。学習スタイル診断は英語で言うと「セルフポートレート(自分を映し出す鏡)」。現在の自分の興味関心や学び方が出てくるのは学習スタイル診断だけの特徴です。それらは自己理解に役立ちます。そして「自分にとって当たり前」の診断結果が、子どもの当たり前ではない、生徒、部下の当り前でないことが分かりますので、他者理解にもつながる診断なのです。

学習スタイル診断にしかない特徴その2:
トレーニングされた「コーチ」が分析、解説をする。コーチが結果について質問します。「この気質(学び方)は自分らしいですか?」。そうでなければ「なぜ自分らしくないと感じますか?」、と一つずつ確認をしていきます。解説コーチングでは診断結果を使いながら主訴を丁寧に解決していきます。多くの検査は心理士等が説明をするので専門用語が並び、受け手にとっては難解で、実践につなげるヒントまでつながらないと聞いたことがあります。子どものためというよりは大人のため、処方のため、特別支援学校に行くため、の検査になっている側面も否めません。私たちコーチは、解説の際に分析をして戦略を立てコミュニケーションを取りながら伴走します。

学習スタイル診断にしかない特徴その3:
学習スタイル診断の結果に「興味関心」の項目がある。学力アップ、受験、勉強、と言われるすべての学びの第一歩は子どもの「興味関心」に寄り添うことです。自分の好きなこと、得意なこと、お気に入りの活動が明確になります。「興味関心」は大人から与えられるものではなくて子どもの中から湧き上がってくる学びの原動力です。その子にとって学びをよりよいものにするためには、気質や優位感覚、学習環境や才能のどの項目よりもパワフルな項目なのです。私たちは好きなことや興味のあることは特段の努力をしなくてもいつの間にか夢中で取り組んでいるものです。その結果を知ることが出来るのは学習スタイル診断のみです。ある子どもは昆虫を通して世界の国の名前、英語、年齢相当以上の漢字を学びました。ある中学生は、ゲームを通して英語や機械制御のための電子回路や微分積分の数式まで学びました。支援者は子どもの興味関心を知らずに、個別最適化学習のサポートはなしえません。

GIGAスクール構想に伴う個別最適化学習や、コロナの感染拡大で急速な学びのオンライン化で、「一人一人に合わせた教育や指導を」という考えが一般的になってきました。この考えは実は新しいものではありません。古くは100年以上も前に、ジョンデューイがシカゴ大学内に体験型学習の学校を作った時から始まっていました。つまり教育の中で本質的で重要なことは100年経っても「変わらない」のです。AIが発達検査までとってかわって分析をするような検査が増えてきたように感じています。検査、診断は「子どもの幸せな自立」の手助けするためのツールの一つでしかありません。コミュニケーションを取りながら伴走することは人間の私たちしかできないことでそこには手間と時間がかかりますが、その点こそに力を入れている検査/診断を選ばれることをお勧めします。因みに学習スタイル診断もオールマイティではありませんので、今後は発達検査で分かるような認知や感覚、運動などの要素を少しずつ肉付けをして教育機関やご家庭、企業に広めていく予定です。