4月に新しい学年、学校で期待に胸を膨らませて学校に通っているお子さんも多いだろう。環境が変わると大人の私たちでさえいろんな意味でもストレスを受ける。子どもたちも同様に頑張っているのに期待通りにならなかったり、「なんか違うな?」と思い始めたり。一番近い家族につい「学校に行きたくない」とこぼすこともあるだろう。そんな時にどう対応すればよいか。20年の多様な学びの最前線で相談に乗ってきた経験と3人の子どもがそれぞれ学校に行きたくないと行かなかった時の経験を交えて紹介する。どの年齢/学年でも子どもが「学校に行きたくない」と言った時の対応方法は4ステップある。1:原因より共感 、2:一緒に考える、3:学校と良好な関係を保つ、4:対話を重視するである。

1:原因追求よりまずは共感
「学校に行きたくない」と口にするまでに本人なりの葛藤があるはずだ。頭の中で「学校に行かなくちゃ」という自分と、「行きたくない」という自分が戦っていて、何とか自己解決を試みている。仮に、子どもが長い葛藤を経てようやく親に伝えたとすると、あなたはなんと答えるだろうか?もしかすると小さい子であれば言葉ではなくてお腹が痛い、頭が痛い、という体調の不調でサインを表すかもしれない。高校生くらいになると、言葉に出すのが煩わしくなり、朝起きてこなくなるかもしれない。いづれにしてもそれは「学校に行きたくない」というメッセージだとするとあなたはどう対応するだろうか?まずは思わず伝えてしまう12の好ましくない言い方を紹介したい。

1:指示命令「学校に行きなさい」
2:注意脅迫「学校に行くのはあなたのため」「行かないと先生に怒られるよ」
3:説教「学校には行くべきです」
4:提案「先生に相談してみればいいのに」
5:理論の展開「嫌だと思うから嫌になるんだよ。行けば意外と気分が変わるものよ」
6:非難「すぐに行かないとか言って、忍耐力のない子だね」
7:同意「行きたくないなら行かなくていていいんじゃない?」
8:侮辱「学校くらいも行けないの?」
9:分析診断「もしかしたら今日はプレゼンテーションがある日だから行きたくないのね」
10:同情激励「確かに学校ってつまらないと思うこともあるよね。でも行けば楽しいかもよ」
11:尋問探りを入れる「ひょっとしてテストの点数が悪かったの?」「何かあったの?」
12:ごまかす、気を紛らわす「今は忙しいから後にして」「まぁ、それなら気が変わるまで待ちましょう」

つい言いがちなこの12の言い方。どうして好ましくないのだろうか?それは勇気を出して「行きたくない」と伝えたものの、受け取ってもらえなかった、理解してもらっていない、そんなことを言っていないよね、、という気持ちになるからだ。子どもがもっと話したい、と思わせる方法はないだろうか?

まずは話を「聴く」と決めよう。そして思わず発してしまう「○○べきだ!」という価値観は横の椅子に置いておいて「学校に行きたくないんだね」とおうむ返しに伝えてみよう。そして言葉に合図を打ったり、黙ったり、子どもの言葉を繰り返して、、を続けると、言葉の鏡になることができる。子どもが自分で考えて解決まですることもある。 ここで心理学で有名な「マズローの欲求5段階説」を紹介しておこう。

人間の欲求には段階があって下の欲求が満たされないと上位の欲求段階に行くことができないという説である。勉強をすることは高次欲求で、この図で言うと「尊厳欲求」や「自己実現欲求」になる。これらは自らが満たしたい内的な欲求である。それらは低次の欲求が満たされていて初めて湧いてくる欲求だ。低次の欲求とは衣食住が確保される「生理的欲求」や体が健康なことや、安心して帰ることができる家庭環境、眠れる場所の「安全欲求」、そして帰属しているコミュニティがあるという「社会的欲求」のことだ。どの欲求がいま子どもには満たされる必要があるか?立ち止まって考えてみよう。子どもの訴えに共感する根拠にもなるだろう。
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