先日は多くの方にご参加・ご視聴いただき誠に有難うございました。
(株)YOUDEAL 代表取締役の西田大輝さんより、ご質問頂いた内容について下記のとおり回答をいただいています。この回答を読むだけでも、多くの「子どものゲーム」に悩む大人の皆さんの参考になると考え、西田さんの許可をいただいて公開いたしました。
【西田さんからの回答】
拙い文章で恐縮ですが「私個人のいち意見」としてお目通しいただければ幸いです。
Q:ゲームばかりしていいのでしょうか?依存させずに楽しくゲームをするにはどうしたらよいのでしょうか
A:すいません!分かりません!!
分かりませんがしかし、ゲームが一般家庭に普及して40年、ゲームを遊びたい子を止める
”裏技”は未だ見つかっていないようです。ゲームをやりたい子はゲームをするのですから、
より学びの多いゲームに興味を持ち、遊ぶように伴走をお願いします。
Q:息子は高校の寮生活の間に廃人になるほどやりきったそうで、それ以降は興味がなくなりました。この方法はありなのでしょうか?
A:何かをやりきったという経験は、今後の人生の糧になります。
進学や就職の進路を選ぶとても大切な時期であることは間違いありません。その時期に「何のゲーム」を「どう遊ぶ」のかは、学科や進路を選ぶのと同じように重要なのです。
私の話で恐縮ですが1~2タイトルほど熱を入れたゲームがありまして、その際に下記のような経験ができ、今でも人間関係はもちろんのこと、私を形成する柱になっています。
1:友好関係の広がり
「中〜高校時代にバイトして貯めたお金で全国各地にゲーム遠征、友人ができた」
2:1つの物事にうちこむ
「対戦ゲームで全国大会を目指し、予選で代表権を取得した」
3:組織運営とマネジメント
「オンラインゲームのギルドを幹部として運営。定例会議、目標課題の設定、担当分けと準備、人間関係の相談事 etc」
4:自主性
「ユーザー主催の大会、イベントを開催」
「ファン活動として二次創作したゲームが雑誌に掲載」
しかし、お金と時間をかけたら誰でも到達できるゲームをやりきったという場合は「人生の経験値」としてはそう多くはないでしょう。「お客様としてゲームに遊ばれる」のではなく「自分がゲームを使って遊ぶ」のかどうかが重要なポイントと考えます。
Q:時間を守ることについてトラブルになることが多い。友達と時間をきめているようで自分の家の生活ルールと異なり制御不能。ルールについて親子でどのように合意形成できるのか他の家庭の事例など知りたい。
A:時間を守ることと、ゲームを遊んでいることは別で考えましょう …一旦
いや西田さん、ゲームのせいで時間を守らないんです!と聞こえてきそうです。
赤信号でも車とゲームは急には止まれないんですすいません。
■約束を破る人は好きですか
ぜひ子供にも質問して、確認をしてほしいのですが「約束を破る人」は好きでしょうか。嫌いでしょうか。約束を破る人と、約束を守る人、どちらになりたいでしょうか。
きっと、約束を守る人のほうがいいと答えてくれるでしょう。
家族の約束事として「お風呂の時間になったら入る」「晩ごはんは家族で食べる」約束をする。「なぜなのか」理由も添えてあると納得感があります。
「ご飯ができたから来なさい」「お風呂の順番がきたから入りなさい」
もしかしたら都度、都度の突発的な声掛けにはなっていないでしょうか。
「◯時頃にご飯ができるから、◯時には一旦やめておいて」
先々の予定を伝えて、約束にする。
宿題をほったらかしでゲームしてしまう場合にも
「宿題は先生と子供との約束なので、約束を守りなさい。」
という伝え方をしてみるのは如何でしょうか。
■ゲームの”都合”も考える
ゲームごとに区切りやすい時間が違うので、ゲームに歩み寄ってみるのもいいかもしれません。渋々。少しだけ。
例えば、スプラトゥーンでは2時間置きにMAP変更が入り、必ず一緒に遊んでいる人と解散するタイミングが来ます。学校から帰ったらまず宿題。17:00からゲームをはじめたら19:00まで遊び、その後夕飯とお風呂〜21:00まで遊んだら寝る などです。
FPSやRTSは1試合のゲーム時間が15分〜30分になることもよくあります。
オンラインで人と遊んでいるゲームを途中で抜けることはアカウントのBAN(登録抹消)や、マナー違反にもなってしまいます。
事前に「次の試合が終わったらご飯だよ」と声掛けができるとお互い強い言葉で言い合いになる事も減らせるかもしれません。
■夜更かし&寝坊してしまう・・・
これは友人の家庭で実際にやっている話ですが、
『夜はゲーム禁止。だが朝早起きしたらやっていい』というルールにしているそうです。
このルールにしてから小学1年生の子供は早寝早起き、遅刻もせず元気に登校しています。
Q:オンラインゲームは誰とやっているか分からず、知らない人と繋がるのも心配です。
A:心配はもっともですが時代に合わせるしかない
私達は社会を生きるうえでSNS、LINE、メール、YOUTUBEなどオープン、クローズド問わず、どこかで知らない人と関わり、影響を受けていきます。ゲームを悪者にしただけでは解決しません。善悪の見極め、物事の善し悪しを判断する事はゲームとは関係なく、子供と話し合っていただきたいと思います。「リアルで1:1で会おう」などの不安なものだけもちろん制限を。
ゲームコミュニティのメリット
・同じ趣味で、進学や転校など環境が変わっても付き合いが途切れず一生物の友人ができる
・年齢性別、職業が違うからこそ学校ではできない貴重なコミュニケーション体験ができる
・学校や家族だけではない世界を持っておくことで、いじめやケンカ、家族間のトラブルがあった場合のよき相談相手に
ゲームコミュニティにもいい人が殆ど。悪い人を弾く自浄作用はあるのである程度は安心です。
Q:言葉使いが悪くなって心配です
A:「ユーモア」と「暴言」の見極めを!
ゲーマーのコミュニケーションはゲームの共通言語も手伝って独特の言葉選びやユーモアが多く刺激的です。その中の1つに「煽り」というものがあります。
簡潔に言うと「わざと嫌味を言うお笑い・動作」や「盛り上がる流行語」です。
「気心の知れた友達、身内とだけやる悪ノリ」と考えていただければ少し安心していただけないでしょうか……?
「お前一生◯◯だな」(たった2回連続、同じ事をやった人に対して言う)
「はー、キレそう」 (本当はキレてない。でも本当にキレている場合もある)
「はいバカ〜」 (意訳:私はあなたの行動を予想して、読み勝ちました)
もちろん知らない人にやるのはただの暴言、マナー違反で、格好悪い事です。
TPOだけはしっかりするように話し合いを!
癇癪を起こしてイライラで暴言を吐いてしまう場合には、どうしてイライラしているんだろう?自分はベストを尽くしたのか?そのイライラのゲーム内の原因は、自分では対策、改善できないだろうか?問いかけをしてあげてください。
Q 「学習を何分やったらゲームを何分できる」のような交換条件を出すことについて、どう思われますか?
A 保護者からではなく子どもから提案ならば良いのでは
保護者からの提案では「報酬が確約されないと動かない」という思考パターンが1つ形成されてしまうことに対しての懸念があります。子どもからの能動的な提案であれば前者より良いと考えます。
さらに言えばゲームは「何分」で括るとして、学習は「何分」ではなく「何を学習できたのか」で声をかけ承認できると学習効率や意欲も増すのではないでしょうか。
Q ゲーム実況についてはどのようにお考えか、伺ってみたいです。実況、配信の面白さとは何でしょうか?また、教育的視点で、子どもがそれらをすることでどのような成長機会があると思われますか?
A 「ゲームで遊ぶこと」と「ゲーム配信」はまったく別のもの
■実況、配信(視聴)の面白さとは
・好きなタレント、アイドルの番組を見る感覚 ファン活動
・ラジオ的な使い方で傾聴よりは垂れ流し、生活の一部
・ゲームを自分でプレイする体験は無い。TVでのスポーツ観戦に感覚が近い。
■自分で実況、配信をする場合
目的が「より多くの人に届ける」場合には成長機会があります。
(自己PR・相手の立場で考える・話し方・言葉遣い・情報収集・情報整理・映像、音声機材の知識・編集技術 ほか)
一方で自覚なしに「自己愛を満たすため」が第一目標になってしまい、歪んでいく人は多いので注意したい所です。(規約違反、炎上、過激な表現、過度な露出など)
その他
■私が仕事をするうえで度々読み返している記事です。
『レベルエンター山本大のブログ』2011-01-12 RPGから学ぶ仕事の鉄則 より
https://daiyamamoto.hatenablog.com/entry/20110112/1294848415
■親子を繋ぐコミュニケーションツールとしてもゲームが機能
先日話題になったXのポストに、ストリートファイターを夏休みの自由研究にしたものがありました。
https://x.com/t1978ps4/status/1692152847755051051?s=20
おわりに
講座内でお伝えしたかったことの1つに【本質を見る】という事があります。
問題を「ゲームのせい」という入り口から考えてしまうと自分の思い込みに判断を左右されてしまいます。「ゲームのせい」だけではない、根本的な問題の見方、捉え方で、お悩みに向き合っていただけると幸いです。
では私はQ&Aの回答を書き終わったのでゲームしてきます。
御清覧ありがとうございました。
(株)YOUDEAL代表取締役 西田大輝
https://youdeal.co.jp/