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子ども一人一人の個性を活かした教育を導入している学校例:
日本はようやく2016年末の国会で教育機会均等法が通ったものの、現場にまで真の意味を理解し対応できるようになるまで時間がかかっているようだと耳に入ってきます。まだまだ「学校に行くのは当たり前」であってそれ以外は「不登校」や、「社会に順応できなかった」とレッテルを貼られがちです。「一人だけの特別な対応」という名目で支援を断られる場合も多いと聞いています。先取り教育という観点ではギフテッドプログラム=天才児教育、飛び級が「学校」に導入されていないのは先進国では日本だけかもしれません。塾では先取り学習は一般的ですが学校だけが教育の事情に取り残されています。そのような中で「学習スタイル診断」を入学時に取り入れ、子どもの学びの成功を目指している学校を4つ紹介します。そのうち3つはアメリカの学校です。

1: Solimar Academy
LSインスティチュートの創立者マリアエマとビクトリア2名によって作られたオンラインスクールです。学年はk12年生まで(米国は年長をK=キンダーと呼び、義務教育が日本より一年早く始まります)。12年生を終えると「カリフォルニア州に登録された学校」という卒業証書が贈呈されます。代表二人を含めてコーチは7名。生徒は全体で50名ほど。アンスクーリングという単位を取らないが科目を得意な方法で学びたい生徒のためのコースとハイスクールコースの2つあります。アンスクーリングコースでは何科目勉強してもOKで学費は1270ドル/年ハイスクールプログラムはコーチとの面談回数が月2回で学費が年2850ドル、月1回で1570ドルと変わります。(コーチの価値が高いです!!)カリフォルニア州の登録された学校ですが理想の教育を実現するためにどこの機関からも認証・認定はあえて取っていません。(日本のインターナショナルスクールではこぞってWASCやIBなどの認定をとっています。)アメリカでは一人で学校に通えるようになる14歳くらいからホームスクーラーがコミュニティカレッジ(=以下ccとします)に通うことがあるそうです。一般的に日本語で言うとccは短大のことを指します。短大に14歳から通えるのです。CC1学期分はハイスクールの一年分に認められるそうなので、高校に行かなくても大学は進学ができる仕組みです。14歳がCCに入学する時の試験はありませんが数学や英語レベルはクラス分けのためのテストがあり、もし履修希望のクラスが大学生年代でいっぱいの場合はそのクラスは履修できないこともあるとのことでした。Solimar Academyは毎月入学、毎月卒業。単位取得の方法は自己評価がベース。LS診断で「強み」をみつけ、それを伸ばしていく、発達障害やディスレクシアでさえ、そういう言葉は使わずに「あなたはpicture learner=視覚優位で学ぶタイプなのね」という声かけをするそうです。世界のどこからでも入学ができますが、使用言語は現在のところ英語のみです。

2Holy Cross School
ヴェンチュラの地元にあるk8の私立学校、Holy Cross Schoolというキリスト教系の学校。この学校は、LS創始者の一人マリアエマが長年通う教会の同じ敷地にある学校です。ボランティアとして創立者のマリアエマが長らく学校に関わり、ことあるごとにLSの話をしていましたがこれまでの校長は耳を貸していませんでした。昨年度から新しい女性のエディ先生が校長になり、初めてLSを導入して現在は試験的にLSを運用している学校です。全校生徒が入学時にLSアセスメントを受け、家庭でも理解を促すために保護者にワークショップを行っています教師全員がアセスメントの説明ができるようにトレーニングもしています。教室も生徒それぞれの学習スタイルに合わせられるように新しく家具を買い、低学年の家具は中学生が組み立てたりして、昨年から今年にかけて大がかりなモデルチェンジを行いました。先生が喋りっぱなしのレクチャー式のクラスではなく、例えば化学のクラスでは実験や実際に骸骨を手で触ったりできるような手で触れる学習環境にしたり、英語では書くだけでなくマッピングの方法を教えて創造性を高めたり、数学のクラスではnote taking apps(ノートを取るための便利なアプリ)の使い方を説明したりしていました。教室全体がカラフルで明るく、壁に貼ってある標語の数々に魅了されました。写真はその一部です。ランチタイムには校長のエディとお話をすることができました。米国出身ですが元々心理学が専攻だったので学習スタイルの大切さを身をもって知っており、オーストラリア大学で先生の卵達に教授法を4年間教えたこともあります。その頃からお互い知り合いではなかったもののLSの創始者の一人ビクトリアの書いた書籍を使ってレクチャーをしていたという偶然が重なりました。自らの信念があれば必要なものを必要なタイミングで引き寄せる、引き寄せの方法「law of attractionを文字通り体現しているような素敵な女性で話が弾みました。この学校はオンラインスクールではないので実際に住んでいる子供しか通えないのですが、教室では思い思いの場所に座ってリラックスして対話式の授業を受けていることが印象的でした。この学校は研究対象にもなっています。わざわざオーストラリアから年間を通して教育学の教授がLSと共に移り変わる生徒の様子を科学的にデータ化していて、将来的には出版されるようです。学校紹介とは関係がありませんが、徒歩圏内にアメリカ南部のコケイジャン料理のお店があり私が頂いた南アメリカ料理、グリッツ、、トウモロコシの粉でできたおかゆ料理が、ホッとした味でした。こちらの学校も使用言語は英語のみです。

3:Laurel Springs School
Laurel Springs はオンラインスクールでKから12年生までの生徒が在籍。全体の生徒数は4000人です。入学時には全員LS診断を受けています。私がLSのコンセプトと関わってきた同じくらいの期間、LSを使った学校運営をしていることになり個人的にも親しみのある学校です。この度は、初めて担当者の先生とお話をすることができました。この学校は本校がベンチュラにあるものの、全米、全世界から生徒を受け入れています。生徒担当マネージャー として働くレイチェルもオンラインの学校という利点を生かしてケンタッキー州の自宅から働いています。この度は国内の時差を超えてお時間をいただきスカイプMTGをしローレルスプリングスに関してお話を伺うことができました。LSコーチでもあるため、ケースによっては生徒にLS診断も行っています。創立26年。日本の政府も一条校と同等と認める「WASCの認定を持つ通信制では数が少ない進学校です。在校生生徒にはスポーツ生、芸能人、ギフテッドなどの特別な才能を持つ生徒のほか、海外在住生、そして通常の通学校を選ばなかった生徒がおり、多くはアメリカ籍で大学進学を目的としています。スポーツ推薦でスカラーシップを取ることができるNACCUCもこの学校を認めています。カリキュラムがしっかりとある学校で、学校で指定されているカリキュラムを使い定期テストもあり、テストの点数や提出物で成績が自動的につきます。入学も卒業も毎月あるので日々生徒数は増減がありますが現在の在籍人数は4000人程度。そのうち10%が学校が主催するオンラインの30もあるクラブ活動やバーチャルで開催される遠足、または時に大都市で開催されるボランティア活動であるbeach cleaningや模擬国連でNYへ行くなどのイベントに参加しています。卒業式は毎年一回全国から50名ほどが集まり、ダンスパーテイーのプロムも開催されていて100以上の参加者があるそうです。クラブ活動も活発でバーチャルの上で「書き方学習クラブ」活動をレイチェルは担当しています。フロリダやNYカリフォルニア州には生徒が多く住んでいるので実際に会って遠足や課外活動をしているそうです。その他の地域の子供には「バーチャル遠足」が用意されています。高校卒業までの学年があるものの、在籍数が最も多いのは中学生。小学生まではカリキュラムにもモンテソーリのように科目を撤廃して一つのプロジェクトからいくつもの科目を学ぶと言うよう柔軟性があります。学年が上がるにつれ、進学に向けた決まったカリキュラムになり、それを成果物提出や小テストを繰り返し、最後に期末試験を行うことで単位を与えていくシステムです。カリキュラムに沿った学習材料、課題はオンラインで入手(校独自のもの)24時間、365日、アクセス可能なシステム。日本から履修する生徒と会ったことが以前ありましたが、生徒の都合で動画の授業は受けられるものの、先生との面談が日本では夜中になるので大変だとおっしゃっていました。カリキュラムが決まっているので高校生には先生はLSをベースにした気質や学び方を提案が難しい場合もあるのですが生徒に合わせて学習をカスタマイズするのではなく、提出物をたとえばレポートではなくて話す方が得意な生徒にはプレゼンをさせたりしています。つまりLS診断に従ったアドバイスをLS結果を見て特性に合ったものにする、を行うことはあるようです。進学校で選んでWASC取得したい子どもが入学してきているため、学力が遅れているので振り返り学習をしたいというような場合には、「ニーズに合わない」という理由で学校が入学を断ったり辞めてもらうこともあるとのことでした。印象では小学時代K5年生はLSをベースに創造的な活動をさせますが年齢が上がっていくうち大学進学のためのプログラムに推移していくイメージでした。WASCという認定を維持するには致し方ないことで、せめて高校レベルで提出物が生徒の得意な方法でトライさせてもらえるのは学びの成功に貢献している秘訣の一つではないでしょうか。学費はコースによって違いますが一般的な通信制高校の学費に比べると35倍ほどするようです。こちらも英語での学習となるためネイティブレベルの英語力は必須です。

4:東京インターハイスクール
日本で唯一LSが導入されている学校です。2000年に創立された米国の高校卒業資格が取得できる通信制高校です。東京は渋谷に所在し、使用言語は日本語か英語。創立時よりLS診断と交流分析を入学時に取り入れ、結果を生徒と保護者に公開。分析に基づいた声かけ、成果物指導をしています。生徒は完全担任制により、「学習コーチ」と一緒に一対一で学習を組み立て、成果物指導を受け、自主的に学習を進めていきます。入学時にはスクール生オンライン生の二つからコースを選びます。毎日行われている「スタディグループ」に参加したい、自習室を使用したい生徒はスクール生。月に一回ほどの来校の権利はあるもののスカイプでのサポートを希望している生徒はオンライン生を選びます。2ヶ月に一度の課外学習、通信制の学校には見られない模擬国連の参加。生徒たちが自主的に始めるサイエンスクラブやプログラミングクラブなど、生徒の自主性を育てる土壌です。カリキュラムはワシントン州の教育局に基づいた単位数や内容に沿っていて、毎年大学進学は早慶上智などの国際教養系学部や美術系、海外進学者を輩出しています。宝の原石のような生徒たちが強みを伸ばして才能を発揮できる環境です。思春期年代が親以外の大人、学習コーチと信頼関係を結ぶ体験はかけがえのないものです。株式会社立の学校なので就学支援金の対象ではありません。その代わりに私達が「生徒にとってよい」とおもわれることをどんどん導入できる柔軟性が他の日本の学校にない強みです。学費はコースによりますが完全なマンツーマンコーチング付きで100万円前後。東京のインターナショナルスクールの3分の一程度です。入学対象年齢は中3以上(アメリカでいう高1の年齢)からご入学いただけるのですが、中学生年代のご家族からのお問い合わせをいただくため、高校の学び方を体験できるジュニアコースを設置。対象は中1、中2です。今後はさらに小さい年代からのお問い合わに応えるべく学習スタイルを重視した学びができる「幼稚園小学校アカデミー部」を検討中です。わたしは今この学校の中心として学習コーチの育成を始め入学相談や保護者対応、生徒サポートなどの業務を委託されています。

これから先の使命ですが子育てや人育てをされている皆さんの「ライフタイムコーチ」としてこの学習スタイルで強みに着目をした声掛けをしようという理念を広めていくことです。講演会、講座は全国、全世界で行いたいと思っています。ご興味のある方はぜひ詳細をご覧いただき(こちら)、お近くで開催されない場合はぜひお友達を誘いあってお声掛けください。一人一人の皆様の講座後のぱっと輝くお顔にお会いできることを今から楽しみにしています。お問い合わせやお申し込みはこちらからどうぞ。

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