書籍講演会の中で、オルタナティブ教育機関導入事例としてインフィニティ国際学院のゆきちさんにお話をいただきました。
インフィニティ国際学院は2019年に高等部、2022年に中等部が開校したオルタナティブスクール。「世界と日本を繋ぎ10年後の世界を変える人材を育む」を掲げ「教室を飛び出して学ぶ」カリキュラムの特徴があります。特に中等部では、自由進度学習、教科学年横断、探求型、PBL、を土台として、4つのWant(やりたい I want to do, ありたいI want to be, 知りたいI want to know,共に学びたいI want to be with)を育むようにカリキュラムを設計しています。
少人数、個別最適化の特徴の中で、「学習スタイル診断」とコーチングを採用しています。生徒、スタッフ、保護者にも「学習スタイル診断」を実施しています。生徒には授業で、スタッフには研修で、保護者には保護者会で、お互いの学び方の違いや、コーチングの方法について学んでいます。
ケース例として紹介のあったのは、高等部の生徒例。
計画性を身につけてほしいが、無理やりや、押し付けではなく、どうやって主体的に生徒がそれを身につけられるか、「学習スタイル診断」を使ってアプローチをしました。「誰かと何かをしたい」、「多様な人たちと手を取り合って生きていって欲しい」をスクールとして大切にしているので、生徒の特徴を「学習スタイル診断」から考えました。
本人の強みである「表現実行」 と「関係影響」の気質をベースに、本人らしく楽しく、誰かのためになるというモチベーション要素を掛け合わせることにしました。そこで学校行事の大きなイベント、卒業式、入学式の実行委員長を任せました。
本人は生徒や地域など、人を巻き込む中で、「計画性が必要だ」と徐々に気がつき始めました。伴走しているチューター(コーチのような存在)と、「やりたいことを実現するにはどうしたら、人が動いてくれるか?」「予算は誰に頼んで取るか?」、など一緒に確認しながらイベントの開催にこぎつけました。
やりたい、実現したい、オリジナルのユーモア(表現実行的な要素)が本人にあり、先輩や後輩を喜ばせたい、幸せにしたい(関係影響的要素)、というモチベーションも相まって、苦手な計画に挑戦ができました。
この成功体験から、計画することの要領を掴んでいきました。以降の取り組みからは、「意外と計画がある方が物事はやりやすいこと」がわかったようで、現在は受験に向けて計画を立てて取り組んでいます。
高橋から:インフィニティ国際学院では、オルタナティブスクールながら、「他者と共に生きる、学ぶ」を軸の一つとしていますが、開校当初は「みんなでやるなら一緒に、同じように」を掲げすぎて、そこから外れると、「協調性がない人」と見られがちだったと言います。
学習スタイルで個々の強みを見える化することで、お互いの強みと弱みを尊重できるようになり、生徒と教師だけでなくて、生徒同士の理解にも通じたとのことでした。今回の生徒のケース例も、苦手な計画性を身につけるために「スケジューリングとは、、」というアプローチだったら失敗していたでしょう。本人の強みやモチベーションを使って、自然に「計画性」が身についたという、素敵な例でした。
相互理解が深まると、いじめという概念もなくなります。「学習スタイル診断」の結果元に強みや特性、足りないものについて、チューターと生徒で考え、合意形成、対話をする。
これは大人数の学校でも決して不可能ではなく、適材適所に当てはめる提案は一人一人の先生方でもできると言う話で最後は締めくくられていました。チューターのような「味方」「伴走者」が思春期に居れば、素敵ですね。親は積極的にこの時期は、外部の大人に伴走を「外注」しましょう。