ルービックキューブを目隠しした状態ですべての面を合わせる世界大会が行われている。数年前に世界最高齢記録を達成した日本人の84歳の「超」記憶法。個人的には「フォトグラフィックメモリー」という、写真を一枚一枚映像として記憶するタイプつまり「視覚優位」だと見ていたが、実際は「語呂合わせ」で覚えるという「聴覚方法」を使っていた。具体的にはスタート前に、手元にあるルービックキューブの色とパターンを語呂合わせに適合させて言葉で覚えていたのだ。この方法で円周率4万桁の暗記で記録を出したことも。「いい国作ろう鎌倉幕府(1192年)」とか、掛け算を覚える時にアニメの歌に合わせて覚えたりする方法は以前からあったが、その応用版である。


5つの項目から学び方の特性や強みを診断する「学習スタイル診断」。そのうちの一つの項目である、「優位感覚」という私たちが情報を脳に出し入れする際にどの五感を使えばより効果的・効率的に学習ができるかを診断している。5感と言えば視覚、聴覚、触覚運動感覚、味覚、嗅覚である。人間は元々生物学的に優位感覚はリスク分散されていて、多くの人が視覚も聴覚も、体感覚も、、、満遍なく使える。特定の学びの時にある特定の感覚を使うと効率の良い場合がある。例えば英単語を覚える時、九九を覚える場合だ。仮に英単語を覚える場合を例に取ろう。

視覚型のあなたは、文字を見て覚えたり動画を見て覚えるタイプなので、単語帳づくりが役に立つだろう。またポスターに覚えたい単語一覧を作って部屋や寝る時に見えるように天井に貼ったり、トイレに貼ったりして常に目に入るようにしてみる。視覚優位の人は図や蛍光ペンなどの色ペンを多用するのもお勧めである。一方で聴覚優位の場合は、ぶつぶつと単語を声に出して繰り返し言っているはずだ。また、英語の分詞(現在形、過去分詞、現在進行形)などはポップな歌に合わせて歌いながら覚えてもいい。しん、、とした教室では中々つぶやきづらいので自宅では思う存分声に出したり音を聞いて覚えさせてあげよう。触覚運動感覚の人は、じっと座っているよりバランスボールに乗りながら覚えたり、ウォーキングをしながらヘッドフォンで聴いて覚えたり、実際に何度も紙に書いて感覚で覚えるとよいだろう。大学の定期考査の当日はわざわざ時間が倍かかる各駅停車に乗って、ノートを最終チェックしたのを思い出す。あの揺れが、集中力を高めたものだ。

「学びのスタイルで学力アップ」の講座に参加してくださったお母様Aさんの話である。大人になって一発奮起して栄養士の資格を取るべく勉強を始めたという。学校で習ったように、テキストを買って、問題集を穴埋めして、、そのやり方で3回も試験に不合格をしてしまったそうだ。そこで初めて、自分が一番学びやすい方法は何だろう?と考え、音声教材を購入して勉強したところ見事合格したという。つまりAさんは聴覚優位だったのだ。聞いて英語が喋れるようになる有名な教材も聴覚優位の人にはぴったりの教材だろう。そのAさんは、お子さん向けのお料理教室を開いている。お料理教室では、観て聴いてやってみるを取り入れ、視覚派、聴覚派、触覚運動派のどの子どもたちでも楽しく学べるそうだ。もしかすると学校の授業の運営にも、その方法にヒントが隠されているかもしれない。

単語を一つ覚える方法も人によって違う方法があったということはひょっとすると、親であるあなたが覚えて来た方法が必ずしもお子さんの最適な学び方ではない可能性がある。子どもに、勉強の仕方を教える前にまずは学習スタイル診断を受けて学びの個別化をし、合った方法で教えてみてはいかがだろうか。