夏休みの課題図書とか読書感想文の宿題が出ているお子さんは多いだろう。個人的には夏休みこそ、普段学校では体験できないことを徹底的に体験することこと、を宿題とするべきだと考える。これは大人である先生も同じだ。新しい体験でリフレッシュで来たり視野が開けることがあるからだ。また百歩譲って「課題図書」を残しておくのであれば、情報の取り入れ方は人それぞれで「活字」だけではないので、「課題テーマ」にして、使う資料は動画、漫画、書籍、映画、など2つ以上使って資料をまとめさせ、新学期にテーマについてのプレゼンをさせるといいだろう。他の子のリサーチを知るきっかけとなるし、プレゼン力は磨かれるし、教師も時間外に〇付けの作業をする必要がない。

読書感想文とか課題図書にお勧めの一冊を紹介したい。2010年に日本で発売された文藝春秋社の「風邪をつかまえた少年」ウイリアム・カムクワンバ著である。高校の英語のリーディングの教科書にも採用されたが、この8月に映画が公開された。書籍も合わせて親子で鑑賞してほしい。主人公のウイリアムはアフリカ マラウイで生まれ育つ。2001年にマラウイを襲った日照りと洪水で飢餓が国を襲い、ウイリアムの家は穀物の収穫ができずに貧困で学費を払えなくなった。14歳のウイリアムはそれでも学校の図書室に通い始め、風力発電を使えば水を循環させてかんがい用水を作れば年中収穫ができることに気が付き、アメリカの「エネルギーシステム」という書籍から自力で風力発電を作り出す話だ。

政治の話、飢餓の話、目を覆いたくなるようなこともあるのだが、この話のポイントの一つは親子関係だろう。貧しいウイリアムの家庭に唯一ある自転車。その自転車を分解して車輪を始めとする部品を使うことで風力発電機が出来上がるのだ。その必要性を14歳のウイリアムは何度もお父さんに説得するのだが、「本ばかり読んでいないで、畑を耕せ!」と怒られてしまう。最後には理解をしてもらうに至るのだが、子どもが「挑戦したい」ということは、失敗してもまずはチャレンジさせることが大切だというメッセージが込められている。日本では学校の図書館は身近にあるに違いないが、その情報を活かしきれているだろうか。14歳が村を救うことができるというそう遠い昔でもない。ウイリアムはその後この功績を認められて奨学金でアメリカのダートマス大学にまで進学している。同じ世界の話を日本の子どもたちはどう受け止めるだろうか。映画開催の情報はこちらから