【大学導入事例 新潟敬和学園大学】

敬和学園大学は新潟のリベラルアーツのアットホームな大学で、3学科で800名の学生が在籍しています。導入事例を紹介してくれた彩子さんはマインドフルラーニングで学んだ学習スタイルコーチであり、英語コミュニケーション学科の准教授です。

大学の中で二つの場面で「学習スタイル診断」を活用してい​て、導入してまだ1年ほどですが、現在の所見としての活用事例のお話をしてくれました。

一つは、大学1、2年生の児童英語教育プログラムと、小学生に英語を教えたい人たちに、教授法を教えている中での活用です。

児童教育プログラムでは、小学生を対象に教える先生になる学生に、元々「多重知能理論」をベースに英語を教えられるように指導していました。学生たちが先生となった暁には、「多重知能」を理解しているだけでなく、45分の授業で子ども達の全ての才能をカバーできるような授業に、設計します。「多重知能理論」を頭で理解​するだけでなく、​活用できるようにするために、「学習スタイル診断」を導入しました。

​授業を履修する十人前後の学生に受けてもらい、グループの中で対話をしながら、解説しながら、「あなたの学習スタイルはどうだった?」とクラス単位で理解を深めるようにしています。自​らが診断を受けることによって、MI理論を理論として理解するだけではなく、お互いの違いが可視化でき​るので、改めてお互いの違いに驚くと言います。同じ大学で学部でクラスも同じだから、つい同じ価値やスタイルを持っていると思いがちだそうです。

学習の「ユニバーサルデザイン」も徹底的に教えていて、「障害」と言われているのも、実は脳の多様性だと伝えていますが、学習スタイルを通して「多様性」の事態を、実感してもらっています。

先生になった時にすぐに実践ができるように、授業内で出す課題も多様な形式で出しています。例えば最終的なポートフォリオや、「多重知能理論をどう理解したか」という課題を出す時には、「自分の強みを理解して、それを活かすような形で課題をしましょう」、と伝えているそうです。「多重知能理論」をダンスで表現したり、レポートを書く生徒、工作で表現したりと、なんでもよヨシ、としていて、色々な形の課題があっていいという事を教えています。

二つ目は、「学習スタイル診断」のゼミでの活用です。

ゼミでは、子どもに権利や民主主義、市民性教育を教えることをテーマにしていて、子どもが作る「街のイベント」などを企画・実施しています。

「学習スタイル診断」のゼミの導入は、今年から始まりました。民主主義は多様な人たちが対話を通して合意形成をしていることがベースになっているため、その場面で、「学習スタイル診断」を活用しています。

例えばゼミ内の心理的安全性を担保する時に使います。全員で「学習スタイル診断」を実施し、その結果を踏まえて対話が生まれます。​ポイントは全員が受けてみる事。ゼミ活動の中でイベントの準備をする際に、色々な能力​があるからできることがあ​ります。

「じゃあ​、○○が強みのあなたはこのタスクをやろう」​、「あの人は活動をするのが得意だから」、「表を作るのが得意だから」​、、とお互いにこれを任せましょう、と話し合いながら進められています。

結果として「一緒に同じことをやらないから、協調性がない」という雰囲気よりも、「あの人は○○が強いから、ここ任せよう」という共通理解が生まれているようです。こういう特性がある、こういう能力があるから、あの人にはこれを任せたらいいな、、という現象が生まれているのです。

また、この活動を通して見えてきたこともあると言います。

時間管理ができないという学生は、時間を自然に守りたい「組織遂行型」の学生が多いという傾向や、HSPで敏感な人は「関係影響型」が強く出ていることが多いという事です。この診断結果をベースにお互いにいいところを見つけあって、「あなたのそういうところが素晴らしいよ」とお互いが言い合っている姿を何度か見かけているそうです。またこの診断を受けて、周りの人から「それが素晴らしい」と​改めて言われて、​「自分としては困っていたけれど、それが強みだと捉えられてられるようになってきている」、という学生が増えて来たとのこと。同じようなパターンをこの2年で見てきているとのことでした。​自分を知って学生たちからは、「楽になった」と言われているそうです。

高橋より:

自分の強みや才能は、自分にとっては当たり前のことなので、わからないものです。先生からだけではなく、一年間共に学ぶクラスメイト同士、友人同士でそれを言いあえる温かい姿が目に浮かびました。お互いにいいところを見つけることで、自分自身のメタ認知も変わったようです。

子どもに将来教える立場になる学生に、まずは「多様な課題の出し方」「合意形成のはかり方」「得意を使ったチーム作り」を体験してもらうことで、将来身に着けて実践できるような、授業やゼミを設計されていました。彩子さんは、その経験から「これから先生になる人たちがもっと受けてくれればいい」とおっしゃっていて、子どもたちを等身大に理解できる先生が増えることを、私自身も願っています。教職課程にいつか「学習スタイルコーチング」を入れたい、多くの方に届けたいです。

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