中学校の娘が「とても腹が立ったお友達の言動」を教えてくれました。言われたセリフをそのまま聞いてみるとその友人は「あなたメッセージ」を娘に送っていました。メッセージには「あなた」を主体にしたメッセージと「わたし」を主語にしたメッセージの2種類があることを話しました。「あなた」メッセージは往々にして命令や押し付けだと誤解を与えてしまいます。

学校の先生を例にとってみましょう。「受験の時期でも登校するのは君たちの義務だから休まないように」という先生は「あなた」を主語にしたメッセージを送っています。こういうメッセージをもらうとなんだか嫌な感じがしてモヤモヤ、反発したくなります。一方でこちらのメッセージはどうでしょうか?「受験で大変な時期だけれど君たちと毎日会えるのは先生の楽しみなんだ。だから受験期でも顔を見せてほしい」。これは実際に娘の学校の先生が発した言葉で、嬉しそうに話してくれました。きっとクラスのみんなは先生が喜ぶならば、、と頑張って通おうという気持ちになったことでしょう。「あなた」を主語にしたメッセージと「わたし」を主体にしたメッセージでは同じことを伝えたくても全く効果や伝わり方が違います。

「わたし」を主語にしたコミュニケーションは、自分の気持ちを相手に向けてオープンにすることですが、実はこれには少し勇気が必要。特に以下のような3つの思い込みがあると、自分の気持ちをオープンにすることが難しくなります。

  1. いつも正しく、完全で、強くなければならない。
    「これは正しいか」「この感情は理屈が通っているか」といった監視が自分の頭の中で行われていると感情に気が付いたり、表現するのが難しくなります。感情は自然に湧いてくるもので、正しさや理屈とは関係ありません。むしろ「わたしらしさ」を示しています。感情は「人はだれしも完ぺきではない」し「時にはもろい存在であること」を教えてくれています。
  2. 誰にでも好かれなければならない。
    周囲に好かれることを最優先にしていると相手が歓迎して受け入れてくれそうな感情表現しかできなくなってしまいます。相手に合わせたり、期待に応えることに注力していると自分の気持ちが後回しになってしまうのです。そもそも誰にでも好かれることなど不可能です。人との親密な関係は自分の気持ちを少しずつオープンすることで育つものです。
  3. 感情を表すのはよくないこと
    私たちの多くは感情を我慢することを学んで育ってきました。男の子は「泣くのは弱いこと」「もう大きいから泣くんじゃない」と言われ、女の子は「やさしいこと」がいいことで怒りを表さないように教えられがちです。特に育ってきた環境の中で親が感情を表さなかったり、感情を出すときは怒っているとか喧嘩をしている時だけ、、となればそこで育ったこどもは気持ちを表現することを避け、感情はじっと我慢して押し込めるもので、一度それが噴き出したらコントロール不能や混乱状態になると思い込んでしまいます。



感情を「あなたメッセージ」でぶつけるといい争いが起こったり、お互いに傷つく結果になります。感情はぶつけるものではなくて「伝えるもの」。伝えたいことを「わたし」を主語にして伝えていくとその過程で相手との関係を築いていくことになります。


怒りを感じていいし泣きたいときは泣いてもいい。どんな感情も伝えたいかどうかを自分で選んでいいし、強い振りもしなくてもいいです。心地よくない感情は私たちに大切なことを知らせてくれます。


・・感情の扱いやメッセージの伝え方を小学校の早いうちから取り入れてほしいと思うばかりです。2020年春開講のコーチング養成講座で一緒に「わたし」を主体にしたメッセージを学びませんか?養成講座の概要はこちらから♡