2018年3月8日(木曜日)田園調布 開催
「一芸に秀でている子ども、ギフテッドの子育て相談Q&A」
2000年に創立された米国通信制高校で思春期年代のサポートを続けて18年。これまで1000人以上の生徒や保護者が門戸をたたいてくれました。「アメリカの高校卒業の資格が取れる高校」「通学が義務でない」「学習言語は日本語か英語どちらでも可能」「定期テストの代わりに成果物で評価」「学習コーチが個別担当」と「通信制の中でも高い進学率」、、、と日本で唯一の特徴のある学校なので、年齢も、バックグラウンドも、国籍も母国語も多岐に渡り、多様な学びを実践する子どもたちを見守ってきました。

インターナショナルスクールや留学、帰国子女のバックグラウンドを持つ生徒たち。親の転勤で日本に赴任してきた外国人のご家庭。起立性調節障害などの不調があり、全日制の学校から編入をしてくるケース。バレエ団に入るべく海外のバレエ学校留学をしながら勉強と両立、コンクールやオーディション、進学を目指すバレエダンサー。プロのゴルファー、サッカープレーヤー、テニスプレーヤーを目指す高校生。そしてバイオリンやピアノ、フラメンコギターなどで秀でた才能を持ちプロとして活動を始めている生徒もいました。そして中には一つのことに集中したいので45分授業の細切れの学校のシステムに合わない学習スタイルを持つお子さんや、他の生徒の気持ちを敏感に感じて疲れてしまったり、集団生活よりマイペースで学習をするほうが活躍できるお子さん、早々に卒業して飛び級で海外に行きたい生徒、起業をしたい志を持つ高校生、、などたくさんの「才能の宝物」たち。
子どもたちの中には光る種が必ずあって、環境や時期さえ整えば、すくすくと芽が伸びていくということを経験上知っています。子どもたちには「種」が必ずあるのですが、芽を出すのが待ちきれずについつい手を出してしまうのが親御さんです。わたくし自身も3児の母で自分の子どもについては時間は永遠に感じてしまうことがあります。よくご両親の気持ちもわかりますので何かお力になれることを、、と始めた「寄り添って一緒に考え、サポートをさせていただく子育てコーチング講座」も10回を超す開催となりました。

今回のトピックは「ギフテッド」。わたしが接してきた生徒や自分の子育てを通して学んだことをお伝えしたり、参加者の皆さんからもどんどんと情報が飛び出しました。「ギフテッド」教育は、欧米諸国では既に一般的になっていて数学や記憶力など同年代の子どもから飛びぬけている子どもが対象です。先生が教室でキャッチすると発達検査を経て学校から推薦されます。そしてギフテッド専門の学校を勧められます。一方で日本では学習に困難がある生徒に関するサポートがようやく始まった程度で、いわゆる「できすぎる」子どもたちへのサポートは一部の私立の学校を除いて大幅に導入が遅れています。教育は欧米の30年遅れていると言われている日本ですが、子どもたちはあっという間に大きくなってしまいますので、公的な教育が変わるのを待つのではなく、子どもの良さを見つけて環境を整えるのは「ご家庭」の役割だという話は主催をさせていただいている「マインドフルラーニング」の一貫した考えです。

今回のカフェ講座では、作品のような創作物を作るお子さんや、興味対象への過集中、ずば抜けた記憶力や数学的才能を存分に発揮しているお話が出ました。よいところや強みを伸ばしてあげたいけれど、将来このままで果たして大丈夫なのだろうか、、と親自身がぶれてしまうという本音も。「ギフテッド」教育では、子どもの得意分野を伸ばすことを把握し、環境を提供し、子どもにもその得意分野を伸ばすように励まします。同時に、苦手や弱みも子ども自身に理解させて対話を重ねることが大切です。得意分野については簡単すぎると飽きて授業中に寝てしまい、逆に怠惰だと評価されることもあるようです。どんどん新しいことに挑戦させるとよいでしょう。また専門的な書籍や図鑑、専門家やプロとの対話の時間を作りましょう。外部コンテストや研究していることをインターネットで公開して第3者からの評価をもらえると親の称賛が必要でなくなります。そして最も大切なのは、その子の学習スタイルを把握しておくことでしょう。特に視覚か聴覚か、という認知特性が極端な場合が多いので親子ともに知っておくと伸ばし方のヒントになります。コミュニケーションについてはスポーツや演劇などの団体行動やコミュニケーションをパターン化して記憶できるような場に参加させるのお勧めです。ご参加者からは「ボードゲーム」を使って勝った時や負けたときのうれしさ、悔しさを親が代わりに言語化して感情を学ばせているという試みのご紹介をいただきました。評価を入れた言葉ではなく、本人が感じている感情を言葉にして、その先に希望の言葉を付け加える。負けたときに「惜しかったね、もう一回やりたいな」などなど。

ランチタイムには、お母さん自身が自分を整えることが大切だという話の流れで「マインドフルネス」瞑想の話になりました。またお勧め書籍やサイトなどを交換し合い「ギフテッド」に関する情報が少ないとのことで定期的に交流をして集まりましょう!というお話になりました。脳科学者の茂木健一郎さんから「子どもの才能を周りに潰さないように守ってあげて!」と直接お言葉をかけていただいたお母様もいらっしゃいました。親御さんの役割は重要なのですが、家庭で抱え込まずに、一緒に講座で考えていきましょう。
ご感想から:

  • まだ子どもが小さいので先が不安だが、講座で思春期の「ギフテッド」のケース例を聞くことができて安心しました。
  • 特性からの学び、環境やアイテム工夫方法など、改めて子どもの特性を考えた親の在り方に関心が高くなりました。また家庭での工夫を頑張りたいです。
  • 特徴を話し合える場がなかなかないので子どもが持っているものを活用できる場所が身近にあったらいいな、とおもいました。

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